私が子供の頃、裏庭に椿の木がありました。それは、椿の木にしてはかなりの大木でした。雪解けとともに蕾を膨らませ、やがて次々と花を開きます。けれど、幾日もしないうちに、その重みに耐えかねるように、花びらを散らすこともなく美しいまま落ちていくのです。木の根元から一面、地を埋め尽くすように広がるさまは、まるで椿の花の海のようです。時折、過ぎし冬を惜しむように降る雪・・・・その花が<雪椿>と知ったのは、その季節を幾度か通り過ぎたずっと後のことでした。